以前、別のブログに書いたことがあったのですが、削除してしまったので再投稿させていただきます。
数年前になりますが、祖母山の九合目小屋を利用した知り合いが祖母山から帰ってきた後に
「祖母山の九合目小屋は避難小屋なのになんで料金をとるんだ!?」
と憤っていたのを耳にしました。
私は祖母傾縦走の際ブナ広場にテントを張ったので利用することはありませんでしたが、祖母山の九合目小屋は有料(2,000円)となっているそうです。
この人の主張は
「避難小屋は文字どおり緊急時に「避難」するのを目的として造られたものだから有料というのはおかしい」
「九合目小屋は民間ではなく自治体が建てたものだから無料であるべきだ」
というものです。
たしかに、同じ祖母山系でも九折越小屋に泊まるのはタダですし、九重の御池のそばにある池ノ小屋や坊がつるの避難小屋なども無料です。
また、福岡の福智山にある避難小屋「荒宿荘(こうしゅくそう)」を利用して料金を請求されたという話も聞いたことがありません(※ただし荒宿荘のバイオトイレは協力金100円が必要)。
では、同じ「避難小屋」であるはずの祖母山九合目小屋が有料とされていて、しかもその金額が2,000円とされている根拠はどこにあるのでしょうか?
なんで2,100円じゃないんだ?という疑問も湧いてきます(消費税のはなし)。
もちろん、利用料が避難小屋の維持管理費として徴収されているのは明らかなのですが、市道や県道の通行が無料であるのと同じように自治体(国・県・市町村)の所有にかかる避難小屋ならば無料であってもよさそうです。
四国の石鎚山系にある堂ヶ森避難小屋のように民間(愛媛大学山岳会)が所有する避難小屋の場合、その所有者とは無関係の人間が利用するのであるなら利用料を払うのは当然といえますが(ちなみに堂ヶ森避難小屋は1泊500円・カンパ?)
「税金」が投入されている祖母山九合目小屋(豊後大野市の所有)の場合、納税している時点で利用料を支払っているといえなくもない(豊後大野市の財源のうち地方交付税として国税が振り分けられているものがある以上、豊後大野市民のみならず国民全体に利用する権利が発生すると考えることもできる)・・・という論拠も成り立ちます。
そんなことを考えていたところ、ふと
「自治体の所有にかかる建造物に料金を課すのであれば必ず法的な根拠があるはずだ」
と気づいたので調べてみたところ
ちゃんと豊後大野市の条例に制定されていました。
豊後大野市祖母山九合目山小屋条例の第6条には
「山小屋を利用する者は、別表に定める使用料を納付しなければならない。ただし、遭難等による捜索その他緊急を要する場合は、この限りでない。」
と規定されていています。
「別表」はどうなっているかというと
区分 | 使用料 | 備考 | |
大人 | 小人 | ||
5月から9月まで | 2,000円 | 1,000円 | 宿泊利用(毛布は無料) |
10月から翌年4月まで | 2,300円 | 1,300円 | |
貸コンロ | 200円 | 1回につき |
となっています(注:金額の色(赤色)は分かりやすくするために着色したもので原文は黒色です)。
豊後大野市祖母山九合目山小屋条例
(http://www.bungo-ohno.jp/reiki/reiki_honbun/r160RG00000573.html)
国民の権利に制限をかける場合には必ず立法過程を経なければならないという民主主義の基本があんな山奥の小屋といえども当然ながら反映されているんだな・・・と妙なところで感心してしまいました。
なんか小難しい話になってしまいましたが・・・
今回は、民主主義っていいね・・・のお話でした ♪
なお、表題の「なんで2,000円になったのか」の点については・・・
豊後大野市に行って条例が制定された際の議会の議事録を閲覧してください。
(たぶん予測される利用者数と維持管理費を計算して2,000円が妥当ということになったんじゃないかと思います)
蛇足
祖母山へのアクセス方法
ちなみに福岡市内から祖母山の登山口にアクセスする方法はこちらの記事を参考にしてください。
・祖母山の尾平鉱山と傾山の九折登山口にバスでアクセスする方法
参考サイト
豊後大野市
http://www.bungo-ohno.jp/
直方市
http://www.city.nogata.fukuoka.jp/
※荒宿荘の宿泊に関するページURL(http://www.city.nogata.fukuoka.jp/tourist_index/_5602/_9460/_9648.html)
※荒宿荘での宿泊は筑豊山の会会長の加藤氏に事前連絡が必要のようです(電話番号は直方市のサイトに記載されています。URLが変更されている場合は直方市役所商工観光課商業観光係でご確認ください。