都内の各所に「富士塚」という名の”塚”があるのを皆さんはご存知でしょうか?
富士山に登るという行為は今でこそ一般的なレクレーション(と言ってよいかわかりませんが)の一つとして楽しまれていますが、十分な装備や登山ルートの無かった昔は、富士山に登ることそれ自体が命懸けの行為として認識されていました。
しかも、江戸から富士山までは相当な距離があるため、一般の市民が気軽に富士登山に行くなどということは、よほどの財力がない限り不可能なことでもあったのです。
そこで考えられたのが”富士塚”による富士信仰です。
富士山を模した塚を築き、それに登れば「富士山に登った」のと同じご利益が得られるということで、江戸市中のあちこちに富士塚が築かれ、多くの江戸市民が富士塚に足を運んだそうです。
現在でも東京都内に数多く残されている富士塚は、老朽化や文化財としての保存の必要性から立ち入りが制限されていたり、富士塚自体が破却されたりして石碑や立札だけになってしまったものも多いのですが、中には山頂までの登山が自由に許可されている富士塚も存在しています。
そんな実際の登山が可能な富士塚の中には、東京の高層ビルに囲まれながらも展望の利く所もありますので、もしかしたら「初日の出なんかも見えたりするんじゃないかな~」なんて思ったりしている方も少なからずいるかも知れません。
そこで今回は、東京都内に残されている富士塚のうち、実際に山頂まで登ることができ、しかも初日の出が見える…かもしれないと思われる富士塚を4つ選抜してご紹介したいと思います。
なお、「4選」としてしまうと「4」という数字がなんとなく縁起が悪そうな感じがしたのでタイトルは「3選+1」としています。
「じゃー4つ以上取材してから記事を書けよ」
と思う人もいるかもしれませんが、当「登山口ねっと!」の管理人は福岡在住のため、そうそう東京くんだりまで何回も取材に行ってられませんので、あらかじめご了承の上お読みください。
初日の出も拝める?山頂まで登れる都内の富士塚3選+1
1.千駄ヶ谷の富士塚(鳩森八幡神社)
まず最初にご紹介したいのが、千駄ヶ谷の富士塚。
千駄ヶ谷駅のすぐ近く、東京体育館の裏手にある鳩森八幡神社境内内に築かれている富士塚です。
「千駄ヶ谷富士」とも呼ばれる鳩森八幡神社の富士塚は、寛政元年(1789年)の築造と伝わっており、都内に現存する富士塚の中では最も古い富士塚として東京都の有形民族文化財にも指定されています。
千駄ヶ谷の富士塚はいつでも山頂まで登山することが可能ですが、周りをビルに囲まれているため初日の出を拝むのは難しい(というより無理)と思います。
千駄ヶ谷の富士塚のある鳩森八幡神社までのアクセス方法はこちらのページを参考にしてください。
▶ 千駄ヶ谷の富士塚(鳩森八幡神社)にアクセスする方法
2.成子天神社の富士塚(西新宿)
次にご紹介したいのが、成子天神社の富士塚。
西新宿の街中にある成子天神社には、大正年間に築かれた富士塚が残されています。
大正九年(1920年)築造と歴史的にはそれほど古いものではありませんが、山頂まではしっかりと整備された遊歩道を上ることができ(※ただし周りにマンションがあるので夜間の立ち入りはNG)、地下鉄丸の内線の西新宿駅から徒歩5分以内で行けるのでアクセスも抜群です。
山頂からの眺望は北側は開けているのですが、東側にはバカでかい高級賃貸マンションが建っているのでこちらの富士塚も初日の出を拝むのは無理でしょう。
どうしてもここから初日の出を見たいという人は巨万の富を築いてマンションを買い取ってから取り壊す方が早いかもしれませんね。
成子天神社の富士塚へのアクセス方法についてはこちらのページを参考にしてください。
▶ 成子天神社の富士塚(西新宿)にアクセスする方法
3.音羽富士(護国寺の富士塚)
3つめにご紹介するのが護国寺の境内にある富士塚。
「音羽富士」の呼称で親しまれているので聞いたことがある人もいるかもしれません(いないかな?)。
護国寺は三条実美や大隈重信、山縣有朋といった幕末の英雄や、極真空手の創始者である大山倍達さんなど著名な方々の墓所もありますので、大晦日を護国寺で過ごした後、新年の幕開けとともに音羽富士(富士塚)に登頂するなんてのも趣があってよいのではないでしょうか。
なお、音羽富士(護国寺の富士塚)山頂からの眺望は比較的開けており、東側に建てられているビルも階層が低いことから、”初日の出”というほどなくても、ビルの屋上から登る太陽を拝むことはできるかもしれません(日の出を確認したわけではないので、見れなくても責任は持ちませんが・・・)。
音羽富士(護国寺の富士塚)へのアクセス方法はこちらのページを参考にしてください。
▶ 音羽富士(護国寺の富士塚)にアクセスする方法
4.品川神社の富士塚
最後にご紹介するのが品川神社の富士塚です。
品川駅から南に1.5kmほどのところにある品川神社には明治二年の築造と伝わる比較的古い富士塚が残されており、いつでも山頂まで自由に登ることができます。
この品川神社の富士塚は、明治二年に築造された後、神仏分離政策(廃仏毀釈運動)で破却された後明治五年に再築され、大正五年(1922年)に第一京浜国道の工事のため移築されるという波乱に満ちた人生(塚生?)をくぐりぬけて来た富士塚です。
なので、人生に行き詰ったあなたが新年の祈願を行うには打ってつけの富士塚と言えるでしょう。
なお、品川神社の富士塚山頂は東側が十分に開けているため初日の出を拝むことも可能と思われます(他の人のブログでは初日の出が見れたというのもあるのでたぶん大丈夫)。
品川神社の富士塚へのアクセス方法についてはこちらのページを参考にしてください。
▶ 品川神社の富士塚に品川駅または新馬場駅からアクセスする方法
以上、駅から近くて実際に登ることができる富士塚を4つご紹介してみましたが、いかがでしたでしょうか?
品川神社の富士塚は初日の出も拝めると思いますし、これ以外にも都内には登れる富士塚があるはずなので、興味がある人はネットで調べるなどして新年を富士塚で迎えるというのも良いかもしれませんね!!