プロローグ
登山とはあまり・・・というかまったく関係のない話題で恐縮ですが・・・
今回は、秋の味覚、「柿」のお話です。
毎年、この時期になると、いつも気になる事柄があります。
それは・・・
油山の色づき加減でも・・・
天拝山の登山口で出会った子猫の成長具合でもありません。
それは・・・
福岡市天神の
昭和通り沿いにある
旧天神ショッパーズ(ノース天神)1階のスターバックス入口前(ミーナ天神前)に残されている
1本の柿の木に
実をつける
柿のこと
例年、この時期になると・・・
妖艶な肌を見せつけて私を誘惑します。
九州屈指の大都会、福岡天神のド真ん中であるにもかかわらず、たくましく実る宝石たち・・・
天神の旧ショッパーズ前といえば
東京に例えれば渋谷のスクランブル交差点
ニューヨークに例えるならばタイムズスクエアの街路樹にカリフォルニアオレンジがなるようなもの・・・
パリに例えるならシャンゼリゼ通りの木に洋ナシが実るようなもの・・・
ロンドンに例えるならトラファルガー広場の・・・・・・
食べたい・・・
あの柿を食べてみたい・・・
博多在住の人間であれば一度は思い描いたことのある夢物語
そんな幻想を実現させるのが
「ショッパーズ前の柿の実を食べてみたいプロジェクト」です。
仕事が暇だったので
どうすればあのショッパーズ前の柿の実を食べることが出来るのか調べてみました。
柿の木の管理者は誰?
まず、断っておきたいのですが、
天神の「ショッパーズ福岡専門店街」は2011年7月をもって閉鎖され、2012年より「ノース天神」として新たに営業が開始されています。
しかし、我々オッサンにとっては「ショッパーズ」の方がしっくりくるので、このページではあえて「ショッパーズ」または「旧ショッパーズ」と記述することにします。
さて、ショッパーズ前の柿の木から柿の実をもぎ採るにあたり、
さしあたって柿の木の管理者(所有者)を突き止めなければなりません。
勝手に採って怒られたり、まかり間違って窃盗や器物損壊で逮捕されでもしたら、あまりにもマヌケ過ぎます。
企業のコンプライアンスが重要視される昨今においては
「天神ショッパーズ前で実をつける柿を食べようプロジェクト」の実現においても法令遵守が不可欠です。
手始めにショッパーズ前の「昭和通り」が国道なのか県道なのか調べて見ることにします。
国道ならば国土交通省、県道なら福岡県庁に問い合わせればいいはずです。
とりあえずグーグルマップを開いてみました。
・・・が
昭和通りには国道を示す丸みを帯びた逆三角も県道を示す六角形も表示されていません。
国道でも県道でもないとしたら市道か?
何気なく「昭和通り 天神」でググってみたところ
ウィキペディアの「昭和通り(福岡市)」がヒット
wikipediaには
「昭和通り」は「福岡市道路愛称」なんだぜって書かれていたので
※ wikipedia 「昭和通り(福岡市)」へのリンク
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%AD%E5%92%8C%E9%80%9A%E3%82%8A_(%E7%A6%8F%E5%B2%A1%E5%B8%82)
ふ~ん、やっぱり福岡市でいいのか~
と安直な結論に至り、福岡市役所に電話してみることにしました。
福岡市役所に問い合わせてみる
担当部署が分からないのでとりあえず福岡市のサイトに表示されていた代表番号に電話。
「はい、福岡市役所、代表です」
「すみません・・・あの~・・・つかぬ事をお尋ねいたしますけれども・・・天神の昭和通り沿いのショッパーズ前の街路樹なんかのことについてお尋ねいたしたいのですが・・・」
なぜかしどろもどろになってしまう俺
「昭和通沿いの・・・街路樹・・・歩道でしょうか?車道でしょうか?」
「・・・えーっと歩道・・・に植えられていると思うんですけど・・・」
「歩道ですね。みどり管理課にお繋ぎします」
・・・みどり管理課?・・・道路ではないのか?
もしや、車道ではなく歩道に植えられている木の場合、道路ではなく公園のくくりになるのかな・・・
などと考えていると
受話器から若い男性の声が・・・
「はい、みどり管理課〇〇です」
名前を名乗られたらこちらも名乗らないわけにはいきません。
「〇〇と申しますが、変なことをお尋ねして大変申し訳ないんですが、天神のショッパーズ前の歩道に柿の木があるんですけれども、その柿の木になっている柿の実をですね・・・食べる場合って許可か何か必要なんでしょうか・・・」
「天神の・・・ショッパーズ前の・・・どの辺りでしょうか?」
「昭和通り沿いの地下街の入口のところに植えられている柿の木なんですけど・・・」
「郵便局側でしょうか?」
「そうです、郵便局側の・・・昭和通り沿いの・・・」
「少々お待ちください」
私のマヌケな質問に対しても終始冷静な態度で事務的に受け答えを行うみどり管理課の男性職員。
おどおどした自分が恥ずかしくなるぐらいの礼儀正しい対応に公務員の底力を思い知らされます。
忙しいはずなのに私のような暇人の相手をさせて本当にごめんなさい・・・
しばらく受話器を手に待たされる暇人一人
もしかしてお偉いさんと協議しているのか?
怖そうなおじさんが出てきて「そんなくだらない問い合わせするな!」と怒られたらどうしよう・・・
と不安で泣きそうになる中年男性一人
しかし「ショッパーズ前の柿を食べたいプロジェクト」の成功のためにはそんな泣き言を言っているわけにはいきません。
気持ちを引き締め直し、受話器を握りしめる手に力を込めると
やがて受話器の先から若い女性の声が・・・
みどり管理課の回答は・・・
「もしもし・・・みどり管理課の〇〇です、ショッパーズ前の柿の木ですよね」
さっきの男性とは違って意外にフレンドリーな声を耳にし、胸をなでおろす子供一人
「ええ、あの柿の実を食べるのに許可がいるのかお尋ねしたくて・・・」
「あ~あの柿の木ですよね~、なってますよね~この時期になると赤くなって・・・目立ちますもんね~・・・あれなんですけど、採ったりするときに怪我とかされると危ないので市としては許可を出していないんですよ~」
「危ないから・・・やっぱりダメですか・・・」
「そうなんですぅ~、よじ登って落ちたりしたら大変なので市としては許可は出せないですよ~」
「そうなんですか・・・」
「ときどき採られて食べてらっしゃる方もいるみたいなんですけど・・・危ないので近いうちに市の方で全部採ってしまおうと考えているところなんですよね~」
「・・・・・・」
長年思い描いていた「ショッパーズ前になっている柿の実を食べようプロジェクト」は
あっけなく終結してしまいました。
エピローグ
ちなみに「みどり管理課」の正式名称は
「福岡市住宅都市局みどりのまち推進部みどり管理課」というらしいです。
天神の旧ショッパーズ前の柿の実は
採って食べちゃダメらしいです・・・
ちなみに、場所はここらへんです。
注)福岡市役所との通話内容については内容を分かりやすくするため一部フィクションを交えております。