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富士下山コース「スバルライン五合目~馬返し」のご紹介


古くから富士山の表参道コースとして歩かれてきた吉田口登山道。

富士山の吉田口登山道

 

北側山麓の富士浅間神社から馬返しを経由して富士山の山頂を目指す登山ルートで、古来から富士山の表登山道として多くの行者に歩かれてきた歴史の長い登山道です。

五合目に「スバルライン五合目」が設けられた今日では歩く人もまばらな寂しいトレイルとなってしまった吉田口登山道ですが、富士山を一合目から登りたいと考える強者や、より深く富士山を体感したいと考える外国人ハイカーなどには今でも根強い人気があるようです。

そんな吉田口登山道を、富士山に「登る」ためではなく、「ただ下山するだけ」のために歩くのが、今回ご紹介する「富士下山コース」としての吉田口登山道です。

吉田口登山道を「富士下山」として歩く場合は、富士スバルライン五合目をスタート地点としますが、富士山には登りません。

富士山には登らずに、富士山への登山道の途中の泉ヶ滝分岐から”馬返し”に向けて吉田口登山道をひたすら下って行くことになります。

「富士山に来たのに富士山に登らないで何が楽しいの?」

と思うかもしれませんが、山頂を目指す「登山」ではなく、自然の中を歩く「トレッキング」と考えれば、歩きごたえのあるハイキングコースとして十二分に楽しむことができます。

五合目から一合目まで下る登山道は平均的なコースタイムでも2時間以上必要になりますので、トレッキングのコースとしては中級の部類に入るのではないでしょうか?

また、吉田口登山道の一合目から五合目までの区間は古くから歩かれてきた古道だけあって昔の茶屋跡や女人禁制に関する史跡などが点在しており、富士山に「登る」だけでは感じることのできない富士山の歴史の奥深さを感じるとことができるのが、この「富士下山」コースの最大の魅力といえるでしょう。


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富士下山コース「スバルライン五合目~馬返し」ルートへのアプローチ方法

富士下山コースの「スバルライン五合目~馬返し」ルートへのアプローチは簡単です。

富士スバルライン五合目の登山口から富士山への登山コースを進むと、吉田ルートの登山道と吉田口五合目への道が分岐する「泉ヶ滝の分岐」がありますので、この分岐から左の「吉田口五合目」の方に進んでください。

富士山の吉田ルートの泉ヶ滝分岐

泉ヶ滝の分岐から10分ほど歩いたら佐藤小屋がありますので、佐藤小屋から左に折れて下山道を下ると、馬返しに向かう吉田口登山道に入ります。

 

富士下山コース「スバルライン五合目~馬返し」ルートの見どころ

1.たばこ屋跡(五合目)

佐藤小屋から下って最初のチェックポイントは、五合目の「たばこ屋跡」です。

富士山の吉田口登山道のたばこ屋跡(五合目)

 

「たばこ屋」は江戸時代から続く山小屋があった場所です。

スバルラインが開通した現在は無人の廃墟と化しており、その荒廃感が何とも言えない哀愁を感じさせます。

富士山の吉田口登山道のたばこ屋跡(五合目)-2

 

2.御座石(四合五勺)

五合目のたばこ屋の次に見られる史跡は、吉田口登山道の四合五勺にある御座石。

富士山吉田口登山道の御座石(四合五勺)

 

御座石とは神様が依られる石のことをいいます。

江戸時代に入るまではこの四合五勺(現在では五合目)の御座石より上が女人禁制とされ、戦国時代まではこの御座石が富士山における女人禁制の場の象徴とされていたようです。

富士山吉田口登山道の御座石(四合五勺)の案内板

 

岩壁に彫られた文字が承久の歴史を感じさせてくれます。

富士山吉田口登山道の御座石(四合五勺)-2

 

3.大黒小屋跡(四合目)

四合五勺の御座石の次は、四合目の大黒小屋(跡)。

富士山の吉田口登山道の大黒小屋跡

江戸時代後期には大黒天像が安置されていたそうですが、現在は建物などは残されておらず、往時の面影をうかがい知ることはできません。

 

登山道脇に並べられた修験者のお札が、この山が霊峰であることを改めて感じさせてくれます。

富士山の吉田口登山道に置かれたお札

 

4.三軒茶屋(三合目)

大黒小屋の次の史跡は、三合目の三軒茶屋(跡)。

富士山の吉田口登山道の見晴らし茶屋跡の案内板

 

江戸時代から山小屋(茶屋)があった場所で、茶屋そのものは「見晴茶屋」と「はちみつ屋」の2軒しかなかったものの、古くから”三軒茶屋”と呼ばれていたそうです。

「見晴茶屋」は軒先から富士五湖などを一望できたことがその名の由来だそうですが、現在は樹林帯の中に廃墟と化して朽ち果てた小屋が見えるだけです。

富士山の吉田口登山道の三軒茶屋跡の朽ちた小屋

 

5.御室浅間神社(二合目)

三軒茶屋からさらに下ったところにあるのが二合目の御室浅間神社。

富士山の吉田口登山道の御室浅間神社(二合目)

建物はかろうじて残されていますが、この姿を見られるのもそれほど長くはないかもしれません。

 

6.禊所・馬返(一合目)

吉田口登山道のゴールは一合目の「禊所」と「馬返し(馬返)」です。

禊所(みそぎじょ)は、富士山信仰の道者が身を清めるためにお祓いを受ける場所です。

富士山の吉田口登山道の禊所(一合目)

富士山信仰ではここより先は聖域とされているため、この禊所で体を清めてから入山したのだそうです。

 

禊所の鳥居をくぐると「馬返し(馬返)」があります。

吉田ルートの登山口となる「馬返」の画像

「馬返し(馬返)」とは、馬を使える終点のことで、この先は道が険しく馬が使えなかったことから「馬返」と呼ばれるようになったそうです。

 

以上、吉田口登山道の史跡を簡単にご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?

登山者であふれかえる登山道を山頂まで登るのも良いですが、富士山の歴史を感じながら静かなトレッキングを楽しむのも新たな発見があって面白いと思います。

 


富士下山コース「スバルライン五合目~馬返し」ルートはこんな人におススメ!

富士下山コースの「スバルライン五合目~馬返し」ルートは次のような人にお勧めします。

1.富士山に登る自信がない人

富士山に「登る」場合、富士スバルライン五合目からスタートする場合は往復10時間以上歩き続けなければなりませんが、スバルライン五合目から馬返しまで単に「下山」する「富士下山」の場合、標準コースタイムは2時間程度しかありません。

また、富士スバルライン五合目の標高が「2305m」であることから、富士山の山頂を「3776m」とすると、富士山に「登る」場合の累積高低差は「+1471m、-1471m」となりますが、富士スバルライン五合目から馬返しまでただ「下山」するだけの場合、馬返しの標高が「1440m」あることから、累積標高差はたったの「-865m」に過ぎません。

この累積標高差を考えるだけでも、「富士下山」のトレッキングがいかに楽チンであるかがわかるでしょう。

なので、富士山に「登る」自身のない人でも、富士山を「下山する」富士下山コースの「スバルライン五合目~馬返し」ルートなら安心して歩き通すことができるでしょう。

 

2.天候の悪化で山頂への登頂をあきらめて下山する人

富士山は3000mを超える標高の独立峰ですので、下界と山頂で天候に大きな差が生まれることがあります。

下界で晴れているのに山頂ではみぞれが降っていたり、下界では少し風が強い程度なのに山頂付近では台風並みの風が吹き荒れていた、というようなことも日常茶飯事です。

特に7~8合目以上の標高になると天候が全く異なってくることが多いですから、7~8合目で引き返すという英断が必要な場合もその日の天候によってはあり得るでしょう。

富士山の七合目の小屋前

(七合目の小屋から上は天候が急変することも)

 

そんな時に時間を持て余す場合は、「富士登山」の予定を変更してスバルライン五合目から馬返しまで「富士下山」を楽しむというのも良いのではないかと思います。

七合目・八合目から上は危険な天候でも、七合目より下は天候が安定している場合は多いですし、富士下山コースの「スバルライン五合目~馬返し」の登山道はほぼ100%樹林帯を歩きますから、たとえ天候が崩れたとしても雨風の影響はさほど受けません。

富士山の吉田ルートの六合目付近

(七合目から上が大荒れでも六合目まで下ると嘘のように天候が安定していることは多い)

 

このように、「富士下山」のトレッキングコースを悪天候時の「プランB」として用意しておくと、せっかくの山行を無駄にしないで済むのではないかと思います。

 


スバルライン五合目・馬返しのアクセス方法

スバルライン五合目へのアクセス方法、および馬返しから最寄り駅までのアクセス方法についてはこちらのページを参考にしてください。

富士スバルライン五合目までのアクセス方法

富士スバルライン五合目(吉田ルート)へのアクセス※新宿発着
富士スバルライン五合目(吉田ルート)へのアクセス※大阪発着

馬返しから最寄り駅までのアクセス方法

▶ 馬返し(吉田ルート)にバスでアクセスする方法※富士山駅発着

 


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